愛って
愛って
ロマンチックなのだと思ってた
だけど
妊娠してお腹の中で育ててみて
その間の生活は体が苦しいの
だんだん重くて動きも取りづらくなるし
出産も
もっともっと苦しくて痛くて
凄い地響きで大地が割れる
激流の物凄い勢いで
今まで経験したことのない力が身体の中から噴火するみたいなエネルギーで
新しい命は生み落とされる
身体に与えられたこの痛みも未知なものだから
この体が最後まで耐えられるのかわからなくなると恐怖や不安が襲ってくる
だけど
赤ちゃんのことを思うと
絶対安全に産んでみせる
しっかりしろって
気迫が出るし
助けてくれる人たちに、助産師さんにも平気でアシストしてもらうべく
助けを求めてる
それには躊躇はなくて
この時って思考しない
人ではなくなってるかも
獣みたいって人間も動物なんだって
苦しみと痛み
その先に安堵と歓びが待っていて
全身を包まれる
光の道に導かれるように赤ちゃんは舞降りてきて
わたしはそれまでの痛みと力と苦しみから解放されて
赤ちゃんを見て
触って
抱いて
幸福感で満たされる
その夜も
達成感に似た興奮と喜びはおさまらない
愛って
こんなだよ
甘いだけじゃない
なんだから
ふたりが
見つめる時には
義心も憎しみも不安も嫉妬も去勢も試す卑しい心も
そんなのも全て含まれて
思い遣りも柔らかい心も慈しみも尊敬も
そんなのも全て含まれてて
粉砕されて
残って今あるものが愛なんだよね
この空間の見えないんだけど
帯びたものはふたりだけのもの
ふたりにしか感じられない
ふたりしか刻んできてないものなんだよね
愛って
今の瞬間はふたりにしかない
愛って
ヤバいよね
宇宙だよね
それで最高なんじゃかいかなぁ
大好き
ありがとうって
勝手に口から出ちゃうよね
溢れたものをお互い出し合ってる
一方通行じゃないから
いつもそんな気にしてないの
愛だから
循環するものは尊いね
